[ 数え切れない夜の足音 ]

[ サクラ大戦 ] 太正櫻に浪漫の嵐。
誘い受け(積極的な)マリア
For Adult Only. 苦情その他は受け付けません。

 帰国の翌日、マリアは新しく就任した副指令に挨拶に行った。
「どうぞ、開いてるわ」
 ドア越しに聞こえた声にマリアは少し驚いた。そして、中へ入って更に驚くことになる。
「あなたがマリアね。私は藤枝かえでと言います。これからよろしくね」
 そう言って笑った女性は、先代の副指令に生き写しだった。
「...は、はい」
「ふふ...そんなに姉さんに似てるのかしら?」
 マリアの驚きを察してかえでは少し哀しげに笑った。
「大神君なんて一月も経ったのに未だ慣れないみたいなのよね」
 それはそうだろう。彼はあやめに憧れていたのだから。
 マリアは部屋を出た時、思わずため息を零していた。
「マリア」
 呼ばれて振り向くと、そこには大神の姿があった。
「どうしたの?」
「かえでさんに挨拶をと思って」
「そうか。身体の方は大丈夫?」
「ええ。もう平気です」
 マリアの微笑みにつられるように大神も笑顔を見せる。
「よかった。じゃあ、俺は昨日の報告があるから」
 大神はマリアに、それでも今日一日は休むようにと言ってからかえでの部屋に入っていった。
 その後姿に、マリアの胸がシクリと痛んだ。

 次の日。
「おはよう」
 朝、大神は眠そうな顔で食堂へ現れた。
「なんだよ、隊長。えらく眠そうだな」
「書類をまとめるのに時間がかかってね。カンナは朝から元気だね」
「まあな」
 大神は生欠伸を噛み殺しながら、椅子に座った。
「大丈夫ですか? 隊長」
「ああ。書類はもうかえでさんに渡したし、午前中は時間があるからゆっくり休むよ」
「...そうですか」
 大神の口から出る副指令の名前。
 それが何故かマリアの心を波立たせる。
「では、お先に失礼します」
「あ......マリア」
 久しぶりに話でもと思っていた大神は、上げた手のやり場に困ってしまった。
「あーあ、振られた」
 カンナは大神を見てニヤリと笑う。
「カンナ......」
「冗談だよ。でも、何か変だったな。今のマリア」
 大神の情けない顔に、カンナは苦笑いを浮かべながら、マリアの去ったほうを見つめた。
「...そうだね」
 こういう時は正面から聞くのが一番なのだが...、マリアは自分の感情を抑えるのが得意だ。大神は我知らずため息を零していた。

 その夜、大神はマリアの部屋の前にいた。
「はい?」
 ノックをすれば、中から返事があった。
「大神なんだけど、開けてもらえないかな?」
「......」
 マリアは無言のままだったが、ドアを開けてくれた。
「何かあったのですか?」
「それはこっちの台詞だよ、マリア」
 大神は彼女の態度に、ますます困り果てた。朝からずっと自分の胸に手を当てて考えてみたのだが、思い当たる節が全くない。
「どうして、俺を避けるの?」
 同じ部屋の中にいても、大神から離れているマリア。
「......何かしたかな? 俺」
 それでも彼女は答えてくれない。
 大神は黙って、彼女が話してくれる気になるのを待つことにした。
 部屋の中を沈黙が支配して、どのくらいの時間が経っただろうか。マリアが漸く口を開いた。
「大神さんが...かえでさんと話をしているのを見ると、辛いんです」
「え?」
 驚く大神にマリアは言葉を続けた。
「だって、あやめさんにそっくりで......大神さんはあやめさんを好きだったのでしょう?」
「............そうだね」
 大神はしばらく黙っていたが、素直に認めた。
 確かに惹かれていたのだから。いつだって微笑を浮かべているのに、どこか寂しさをまとった『前』副指令に。
「でもね」
 項垂れるマリアに、大神は続ける。
「昔も今も、一番大切なのはマリア一人だけだよ」
「そんな証拠、どこにも無いじゃないですか」
 マリアのこの言葉に、大神は小さく笑ってマリアを抱きしめた。
「嫉妬してもらえるなんて、嬉しいな」
「大神さん!」
 顔を真っ赤にして怒るマリアに、大神は優しい笑みを浮かべて言った。
「証拠が欲しいなら、いくらでも」
「え......あ......ん」
 マリアの言葉は口付けによって封じられた............。

「お、おおがみさん......やっ......」
 抗議は、大神によって全て封じられる。
「駄目だよ、マリア。君が証拠が欲しいって言ったんだから」
「あ......やぁ...ん......」
「もういらないと言っても教えてあげるよ。俺が、君しか見ていない証を」
 大神は小さく笑うと、マリアの白い肌に紅の痕を残す。
 マリアの弱い場所を中心に身体中に花弁が散らされていく。
「マリア......」
「はぁ...ん......っ」
 大神の愛撫に濡れた両脚の付け根に硬いものが押し当てられる。ゆっくりと更に中へと迫ってくる熱量に堪えきれなくなった喘ぎが洩れた。
「あう......っ!」
「くぅ......」
 大神が更に奥へと沈めると身体の接点が彼のものを締め付けた。
「ふあ......っ! あぁぁぁ......っ」
 その感覚に酔いながら、大神は、何度も彼女の身体を貫くように身体を揺らした。
 軽く引き抜いては奥まで突き、それをくり返した。細い腰から隆々と盛り上がった胸を撫で回し、身体をよじってはその胸の頂きにしゃぶりつく。彼に突き上げられるたびに嗚咽混じりにマリアが喘ぐ。
「は、ああっ! あぁ......ん......っ!」
「......愛している、君だけを」
 すでに意識が朦朧としている彼女の耳元で、大神は怒ったような真剣な顔で告げる。
「俺は君を誰かに渡したいなんて考えたことがない。......例え君が離れたいと願っても、俺は絶対に離さない」
「ん......あぁぁぁっ!」
 マリアは声を上げ、身体を強張らせて二、三度小さく震わせた。
 大神も声を上げることなく、果てた――――

「いよぉ、隊長、マリア。やっぱり二人は早いな」
 朝、一緒に食堂へ現れた大神とマリアに、カンナは笑顔で手を振る。
 彼女の前には既に二杯目らしいご飯が山盛りになっていた。
「おはよう、カンナ」
 大神はいつものように食事を準備すると、マリアと並んで椅子に座る。
「へぇ......」
「? 何? カンナ」
「いやね、仲直りしたんだなって思ってね」
 昨日までは大神が隣に座るのを拒むように逃げ出していたマリアの変化に、カンナはいち早く気付いた。
「相変わらずね......」
 マリアは大雑把に見えて小さなことを見落とさない親友に苦笑いを浮かべた。
「心配を掛けたね、カンナ」
「いいって。それより隊長、どうやってマリアの機嫌をとったんだい? 後々のために教えておいてくれよ」
「決まってるだろう、カンナ」
 大神は真面目な顔で言った。
「ひたすら謝り倒したんだよ」
「隊長!」
「ぷ、ははははっ」
 マリアの声と、カンナの笑い出す声が重なった。
「さすが、隊長。わかってるじゃないか」
「カンナ!」
「わりぃ、わりぃ。ほら、マリアも早く飯にしろよ。冷めるぜ?」
「......誰のせいよ」
 そう言いながらも、マリアは茶碗に手を伸ばした。

 こうして、また帝劇での一日が始まる。